ガリレオシリーズの第10弾「透明な螺旋」を紹介するぞ。
第10弾!
だいぶこのシリーズも長寿になりましたね。
更に言えば、この「透明な螺旋」で湯川の家族についても触れられるんだ。
湯川先生の家族ですか……。
そういえば、登場したことがなかったような気がします……。
概要

南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。同時に、男の行方不明届を出していた同居人の女が行方をくらませた。捜査にあたった草薙と内海薫はその過程で、思いがけず湯川学の名前に行きつく。草薙はすぐさま湯川の元を訪れたが、彼はそこ、横須賀のマンションで意外な生活を送っていたー。巻末に短篇「重命る」を特別収録。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
安定のガリレオシリーズ
・今や「東野圭吾」といえば、ガリレオシリーズと思い浮かぶ人も多いのでは?
湯川の家族にフォーカスを当てた一冊
・湯川の家族が登場する作品は今作が初めてではないでしょうか? 家族の前の湯川もどこか新鮮味があります。
文庫には短編も収録
・後日談的な短編小説「重命なる(かさなる)」を収録
どんな事件なのか?
- 海に浮かぶ男の銃殺死体
- 海で漂流している遺体を発見。
- 遺体は損傷が激しく、20代〜40代の男性と推定できる程度。
- 背中に射創を発見する。
- 同居人の失踪
- 生花店に勤める20代前半の島内園香。
- 自宅に行っても留守、勤務先に問い合わせると休職。
- 部屋には化粧品の類が消失しているため、自らの意思で失踪か?
- 物語に複雑に絡む老女たち
- 謎の女性「ナエさん」。
- スナックのママ「根岸秀美」。
- ナエさんの著者に関係する湯川学。
オススメ度
謎の魅力:★★★☆☆(謎自体は複雑なものではないが、感情を使った演出は見事。)
登場人物:★★★★☆(登場人物の造形と、家族間の感情はやはり見事でした。)
読み易さ:★★★★☆(序盤がやけにあっさりしすぎている気がしました。)
総合オススメ度:B+
家族愛を扱った一冊でした。ただ、ちょっと物足りなさを感じました。
感想
ガリレオシリーズの第10弾。
今作は「家族愛」をテーマとしており、それは湯川も例外ではない。
ガリレオの長編作品という立ち位置だが、ボリュームは少ない。どちらかというと、中編ぐらいのボリュームかな、と感じました。
ガリレオの長編あるあるで、科学要素は少なめ。まるで螺旋状に複雑に絡んだ人間模様が中心で、その螺旋に湯川も巻き込まれていく……、といった物語。
今までのガリレオシリーズはには湯川自身にスポットが当たることはあまりなかったですが、今回は思いもよらぬ形で、湯川の家族やその周辺が明らかになっていくのが、意外であり、面白かったです。
しかし、湯川の外堀が埋められてくると、この「ガリレオシリーズ」のネタも尽きてきたのではないか? という一抹の要らん心配もしてしまいました。
次回作はもっと、ド派手なトリックや人間模様を期待したいです。
まさか、湯川の家族が登場するとは思っていなかったぞ。
それに裏方に徹していた湯川が、まさかあんなことをするなんて……。


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