その弁護士の正体は悪か? 正義か? 【贖罪の奏鳴曲:中山七里】

国内ミステリ

この弁護士の行動おかしいぞ……。
なぜ、こんな行動に出るんだ……。

今日は「贖罪の奏鳴曲」を紹介するんですよね。
一体何を考えているんですか?

冒頭から、弁護士の主人公が死体遺棄をするんだよ。
しかも、彼には法廷にいたという鉄壁のアリバイがあるんだ。

な、なんでそんなことを!
一体彼にはどんな秘密があるんだろうか……。

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概要

  御子柴礼司は被告に多額の報酬を要求する悪辣弁護士。彼は十四歳の時、幼女バラバラ殺人を犯し少年院に収監されるが、名前を変え弁護士となった。三億円の保険金殺人事件を担当する御子柴は、過去を強請屋のライターに知られる。彼の死体を遺棄した御子柴には、鉄壁のアリバイがあった。驚愕の逆転法廷劇!

「BOOK」データベースより

大きな3つの魅力

最後まで正体不明の弁護士・御子柴

 ・金や保身のために、悪事に手を染めるような悪辣弁護士なのか?

緊迫のリーガルミステリ

 ・最高裁までもつれ込んだ保険金殺人の判決の行方は?

物語のテーマ

 ・人を殺したという、事実にどう向き合うか。

どんな事件なのか?

  • 保険金殺人なのか?
    • 荷物の下敷きになり、意識不明になった彰ニ。
    • それ以前に掛けられていた多額の保険金。
    • 彰ニの死の真相は?
  • 医療機器のトラブルか?
    • 美津子が誤って機器を停止させたのか?
    • 美津子に殺意はあったのか?
    • 障害者の息子との関係は?
  • 記者の死亡
    • 御子柴の死体遺棄の目的は?
    • 記者は何を嗅ぎ回っていたのか?
    • 何故、記者は服を脱がされていたのか?

オススメ度

謎の魅力:★★★★☆(保険金殺人の謎と、弁護士・御子柴の謎が織り交ぜられていて、飽きない!)

登場人物:★★★☆☆(御子柴という謎に包まれた弁護士とその謎を追う刑事の魅力が高い!)

読み易さ:★★★★☆(文章力が高く、読み応えが抜群!)

総合オススメ度:A
リーガルミステリの醍醐味が堪能出来る一冊。御子柴の謎も相まってグイグイ読める。

感想

 冒頭からまさかの死体遺棄シーンで、一気に物語に引き込まれます。

 この弁護士の目的は? 悪辣弁護士なのか? なぜ死体を遺棄する必要があるのか? 目的達成には殺人をも厭わない悪の弁護士なのか? と頭の中で渦巻きます。

 そこから、弁護士・御子柴の抱えている案件が明らかに。

 彼は保険金殺人の疑いを掛けられている母親の弁護を請け負っていたのだが、どうも彼の行動に違和感がある。

 金に汚いという定評がある彼が、何故報酬の低い国選弁護士の仕事を? 依頼人の周りを嗅ぎ回り、御子柴にとっても都合が悪い記者が死亡。(御子柴が死体遺棄した相手)

 その違和感を敏腕刑事が見逃すはずなく、御子柴を徹底的に洗い出すが、死亡推定時刻には御子柴には法廷に出廷していたという鉄壁ともいうアリバイがあった。ますます刑事の中で疑惑は深まるばかり。

 そして御子柴の過去を遡っていくと彼には「死体配達人」という異名があったことが明らかになっていき……、といった内容。

 リーガルミステリなのに、裁判の内容よりも御子柴の正体に焦点が当てられており、裁判は御子柴の人物の輪郭をくっきりとさせるためにあるような、スポットライトのようでした。

 かといって、裁判の内容を決して手を抜いている訳ではなく、計算尽くされた流れで、思いもよらない展開でページを捲る手が止まりませんでした。

 「司法試験に人格は関係ない」「人間性は考慮されない」「試験の結果さえ良ければいい」という言葉が特に印象に残っています。

 そして、事件の真相と、御子柴が胸に抱えている秘密が分かった時、大きな満足感を得ることが出来ました。これが推理小説の魅力ですよね。

 次回作も大いに期待できる一冊だと思います。

リーガルミステリに恥じない、大逆転劇を味わうことができるぞ!
この快感が、辞められないんだよなぁ。

この作品はシリーズものなんですね。
面白かったので、続編も読んでみよう!

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