イギリスの名誉ある「ゴールドダガー賞」を受賞した、
ストーンサークルの殺人を今日は紹介するぞ。
そんな凄い賞を受賞したこの作品は、相当読み応えがありそうですね。
著者は元々、軍隊と保護観察官の職を経験しているのだ。
物語に大きな説得力があるぞ。
ますます、読むのが楽しみになりました。
物語の世界にどっぷり浸りそうです。
概要
英国カンブリア州に点在するストーンサークルで次々と焼死体が発見された。犯人は死体を損壊しており、三番目の被害者にはなぜか停職中の国家犯罪対策庁の警官ワシントン・ポーの名前と「5」と思しき字が刻みつけられていた。身に覚えのないポーは処分を解かれ、捜査に加わることに。しかし新たに発見された死体はさらなる謎を生み、事件は思いがけない展開へ…英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールド・ダガー受賞作。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
壮大な舞台をテーマにした連続怪死事件
・イギリス各地のストーンサークルで男たちの焼死体が次々と発見されていき……
二転三転するテンポ良く進む物語
・翻訳も良く、新たな事件や謎解き、場面転換と目まぐるしくあっという間に読了
魅力的な登場人物たち
・主人公の「ワシントン・ポー」と「ティリー・ブラッドショー」は名コンビ!
どんな事件なのか?
- 異なるストーンサークルで起こる殺人
- 被害者は男性
- 焼死体で発見されていく
- 性器を切断された上、自身の口に捩じ込まれる
- 犯人=イモレーション・マンの正体とは?
- イモレーションとは……「自己犠牲」「焼身自殺」
- 儀式的な犯行の、その真意とは?
- 被害者たちに見つからない共通点
- 主人公「ワシントン・ポー」
- 3人目の被害者の腹部に切り刻まれた「ワシントン・ポー」
- 全く心当たりがない主人公
- 4人目の被害者となってしまうのか?
オススメ度
謎の魅力:★★★★☆(猟奇的な殺人事件の背後に潜む動機に戦慄!)
登場人物:★★★★★(ポーとブラッドショーの名コンビと名推理に、ニヤニヤしっぱなし!)
読み易さ:★★★★☆(翻訳なのに読みやすく、ぐいぐい物語を引っ張ってくれます)
総合オススメ度:A
ゴールド・ダガー賞を受賞したこともあって、魅力的な謎とかなり洗練されたプロットでクオリティは高い。
個人的には謎よりもブラッドショーの成長ばかりに目がいってしまいました(笑)
感想
久しぶりに、前のめりになってページを読む手が止まらなくなった海外ミステリでした。
イギリス各地に点在するストーンサークルで発生する、儀式めいた連続焼身怪死事件という掴みはバッチリな上、3人目の被害者の腹部に主人公の名前が刻まれているという謎も面白い。
そこから無理矢理、物語に引っ張り込まれた定職中のポーと、天才肌で世間知らずにブラッドショーの名コンビには何度も魅力を感じたことか。
今まで事務所や家に引き篭もっていたブラッドショーが外に出て、ポーと共に事件を捜査していき、徐々に友情が芽生えていく様子はどこか感動的でもありました。
何より犯人ことイモレーション・マンの正体と動機。そして、何故ポーを事件に巻き込んだのか? この謎には大きな戦慄を感じました。
犯人には犯行から、強い信念を感じていましたが、犯人の正体が明るみになるや、犯人に同情してしまう点もありました。そういう意味では、犯人も魅力的な登場人物の一人でした。
翻訳に躊躇している方にも、胸を張ってオススメできる一冊です。
読み応え抜群の海外ミステリだ。
謎の重厚さは勿論のこと、犯人が主人公の名前を残した理由にも脱帽だぞ。
犯人の執念深さにはもう背筋が凍りました……。
まさか、あんな形の動機があるとは……。
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