密室好きには堪らない「密室黄金時代の殺人」を今回は紹介していくぞ。
密室殺人!
一体どんな密室が構築されていくのだろうか……。
実はこの作品全ての事件は密室殺人なんだ。
しかも、2、3回じゃないぞ。もっとたくさん事件が起こるんだ。
そ、それはなんとも密室に対して強い拘りがありそうですね……。
拘りというよりも、執着というか……。
概要

「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」との判例により、現場が密室である限りは無罪であることが担保された日本では、密室殺人事件が激増していた。そんななか著名なミステリー作家が遺したホテル「雪白館」で、密室殺人が起きた。館に通じる唯一の橋が落とされ、孤立した状況で凶行が繰り返される。現場はいずれも密室、死体の傍らには奇妙なトランプが残されていてー。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
密室だらけの殺人事件。
・事件は全て密室殺人! まさに密室殺人のフルコース。
登場人物が分かりやすい。
・登場人物の名前がその人の特徴と一致しているので、至極分かりやすい。
密室を証明すれば、無罪認定?
・密室🟰犯行不可能🟰犯人たりえない、という図式が裁判所に認めれらている。
どんな事件なのか?
- 日本で初めての密室殺人
- 三年前に発生した密室殺人。
- 犯人はすぐに捕まり、断ずる証拠も充分だった。
- 密室の不可解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある。
- 雪白館密室殺人事件
- 十年間未解決のホームパーティでのイベント。
- ナイフで刺されたフランス人形と瓶の中に入っていた部屋の鍵。
- 模倣される、密室事件。
- 続く、連続密室殺人事件
- 自殺か? 事故か? 他殺か?
- 完全密室の部屋をどう、破っていくのか?
- なぜ、密室殺人がこの館で起こるのか?
オススメ度
謎の魅力:★★★☆☆(密室好きには垂涎だが、やや胃もたれするかも?)
登場人物:★★☆☆☆(誰だか分かりやすくはあるが、厚みに欠ける印象)
読み易さ:★★★☆☆(密室を文字で解説すると、やはり読みづらいか?)
総合オススメ度:B
密室殺人が好きなら読んでおきたい一冊。全ての密室を破れるか?
感想
設定がモリモリな推理小説だな、と読みながら思っていました。
三年前の日本で初めての密室殺人事件から始まり、トランプ殺人事件、ノックスの十戒をモチーフにした殺人。そしてごりごりのクローズドサークル。からの、密室連続殺人事件。
著者の好きな本格推理要素をこれでもか、と打ち込んだような一冊で熱量が読者にも伝わってきました。
トリックは大胆かつ丁寧であり、よく考えたなぁ、関心するものばかりでした。特にドミノの密室は読者にも伝わりやすく、密室の完成度も高くて満足なトリックでした。
ただ、登場人物たちに感情移入がしづらかったです。ユーモアがある、といえばそれまでですが、少し地から足が浮いたような感じでした。
なにより登場人物たちに緊迫感がない。どんどん人が死んでいく環境なのに、誰もが自分は安全圏にいると思っている節があり、文章から緊張感が伝わってこないんですよね。ランダムに人が殺されていっているのに、「絶対に自分は殺されない」という自信はどこから来るのだろうか……。自分なら、もっと安全な状況下にして、身内は守ると思う。
広げ過ぎた風呂敷を畳めきれていない印象を少し抱きました。
まだまだ荒削りな箇所はありますが、充分に楽しめる一冊だと思っています。
読む前はこんな密室ばかりの物語とは思っていなかった……。
ぼくは、密室ばかりで頭が混乱してきましたよ……。
まさに密室を愛しているからこそ、作れた作品ですね……。


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