救助対象者は「見えない・聞こえない・話せない」 【アリアドネの声:井上真偽】

国内ミステリ

今回はミステリーというよりも、サスペンス色が強い作品を紹介しようと思う。

「このミステリーがすごい!」2024年版の国内編で5位に受賞しているんですね。

それに映画化したらとても画面映えしそうな作品だぞ。

確かに映画化したら、迫力満点でドキドキワクワクの連続になりそうですね!

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概要

  巨大地震が地下都市を襲い、女性が遭難。しかも、彼女は「見えない、聞こえない、話せない」三つの障害を抱えていた。頼みの綱は一台のドローン。操縦士のハルオは、遠隔から要救助者を発見し、安全地帯まで誘導するという前代未聞の作戦を任される。迫る浸水。猶予は六時間。女性の未来は脱出か、死かー。想像の限界を超える、傑作ミステリー。

「BOOK」データベースより

大きな3つの魅力

ドローン操縦士のハルオ

 ・過去に経験した事件から「無理だと思ったら、そこが限界」を信条とする。

地下都市を襲う巨大地震

 ・IT技術を駆使した「スマートシティ」の式典に直撃する地震。

救助対象者は三重苦を抱える障害者

 ・令和のヘレン・ケラーこと中川博美。地下5階に取り残される。

どんな事件なのか?

  • 地下に閉じ込められた障害者の女性
    • 地震の影響で建物が崩落。地下5階の駅に閉じ込められる。
    • ドローンでしか、通り抜けられない通路。
    • 果たしてドローンで、「見えない・聞こえない・話せない」彼女を救助できるのか?
  • タイムリミットまで脱出できるか?
    • 6時間後に水没する地下都市。
    • 火災も発生しており、刻一刻と迫るリミット。
    • ドローンだけで彼女を安全なシェルターまで誘導できるのか?
  • 果たして、彼女は障害者なのか?
    • 救助活動中に何度も健常者のような動きをする彼女。
    • 徐々に膨らむ疑念。
    • 彼女は本当に障害者なのか? 何かのパフォーマンスだったのでは?

オススメ度

謎の魅力:★★★★☆(ドキドキ・ハラハラの連続で退屈知らず。中盤でトリックが分かってしまいました)

登場人物:★★★★☆(一人一人のキャラクターが個性的で共感しやすかったです

読み易さ:★★★★☆(一人称視点の物語で読み易く、分かりやすかったです)

総合オススメ度:A+ 
2025年に読んだ作品で1、2位を争う傑作で、一気読み必須の一冊でした。

感想

 帯の「一生モノのどんでん返し」という煽り文句に期待を膨らませながら、ページを捲り始めました。さて、煽り文句は誇張なのか、否か。

 実際に読んでみたら、「一生モノのどんでん返し」というキャッチフレーズはやや誇張かな、とは思いました。だって、こんな煽り文句があれば警戒してしまいますよ。そのため、読み進めていたら「もしかして?」と疑ってしまい、結果として想像通りの結末を予想してしまいました。煽り文ももう少し控えめに書いてくれればな、と思いました。それなら、警戒なくすんなりと読めるのに。

 だがしかし、結末は予想できてしまったとはいえ、物語の展開は手に汗握る連続でした。

 障害者の救助という大きなハードルを如何にして乗り越えていくか。様々なアイディアを出して困難に立ち向かっていく。一難去ってまた一難の連続で一体どうやってこの難局を乗り切るのだろうか、と想像しながら読むのはとても楽しく、有意義でもありました。

 2025年のベスト作品に入ってくる作品でした。

 ……どうも穿って作品を読んでしまうのが、私の悪癖のようです。

まるでドローンのようにあっという間に飛び去っていくページ。
そして、驚愕の事実。まさに圧巻の一冊でした。

ドキドキ・ハラハラの連続で手に汗握るとはまさにこのことでした。
本当に映像化してくれないかな……。

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