ホラー小説「天使の囀り」を紹介するぞ。
ホラー小説って、お化けとか幽霊とかが登場する奴ですよね……。
そういったホラーとは、また違った恐ろしさがある小説だぞ。
普通のホラー小説とは一線を画すのは間違いない作品だ。
そんな、恐ろしい小説を読ませるなんて……。
人の心(たぬきの心?)はないんですか?
概要

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか?高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
別種のホラー
・幽霊・ホラー・ゾンビ・都市伝説・人怖とホラー小説にも多種多様な種類がありますが、また別種の恐ろしさがあります。
ぞくぞくと背筋を這うような恐ろしさ
・真相に迫っていくにつれ、まるで背中を虫が這うような恐ろしさがあり、鳥肌が止まりませんでした。
最後の最後までに気が抜けない
・ひとつの恐怖を終えても、また次の恐怖が迫ってきます。そして日常にも支障をきたすかも……。
どんな事件なのか?
- アマゾン探検隊の変貌
- 早苗の恋人の高梨らがアマゾン探検隊に参加。
- 帰国後、死を恐れていた高梨が死に「魅せされる」ように。
- 高梨の食欲・性欲の増加に何か秘密が?
- 「地球の子供たち」のオフ会
- フリーターの荻野信一が出会う「地球の子供たち」。
- おかしな宗教か? 自己啓発セミナーか? その正体は?
- 導かれるようにオフ会に参加してしまう信一が目にしたものは?
- 相次ぐ不可解な自殺
- もっとも恐れていた「死」に自ら飛び込む高梨。
- アマゾン探検隊のメンバーも恐れていたものに、自ら飛び込み、死んでゆく。
- そして、「地球の子供たち」のメンバーも……。
オススメ度
謎の魅力:★★★★★(ホラーの核は取材の賜物なのか、説得力に溢れています)
登場人物:★★★★★(登場人物の差別化はもちろん、早苗には投影しやすかったです)
読み易さ:★★★★★(500ページ以上という文量でしたが、全く飽きが来ず3日で読了)
総合オススメ度:S
ホラー小説の傑作のひとつ。もっと読んでいたかったです。
感想
以下よりネタバレ注意!
「天使の囀り」の正体が判明する瞬間と、セミナーハウスで「感染」してしまった人たちの末路を早苗が発見した時には身の毛がよだつような恐ろしさがありました。
まさか、線虫が正体とは思いもよりませんでした。
生活の身近にいる線虫。これが思いもよらない効果を持ち、人々に感染していく。自分がもっとも恐れているものに魅せられるように、惹きつけられて自殺していく。自分自身の頭の中を線虫が這っているなんて、想像するだけで不気味で不気味で……。
私自身潔癖症の気があるので、あの自殺の方法にはまさに身の毛がよだつような恐怖を味わいました。絶対にあんな死に方はしたくないです。
専門用語も噛み砕いで、わかりやすい説明があり、これが物語に説得力をもたらしていました。この説得力が物語にリアリティを持って、ありありとした恐怖を体験できました。
一貫して正体が分からないような不気味な気持ち悪さがあり、怖い物見たさ(読みたさ)にページを捲る手が止まりませんでした。
最望んで寄生虫に犯された人々は本当に幸せになったのだろうか?
これぞ貴志祐介の真骨頂!
このゾワゾワとする足元から這ってくるような恐ろしさが癖になる!
恐ろしすぎる……。
もしこれが蔓延してしまっていたら、どうなっていたことか……。



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