現代の婚活にフォーカスを当てた作品である、
「傲慢と善良」を紹介していくぞ。
婚活がテーマなのに「傲慢と善良」がタイトルなんですか?
なんだか、しっくりこないような気がしますが……。
いいや、このタイトルこそ如実に現代の婚活事情を象徴としているに相応しいんだ。
この本を読めば、間違いなくそれを理解できるぞ。
このタイトルにそんな秘密があるなんて。
読んでみるのが、楽しみです。
概要

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになるー。彼女は、なぜ姿を消したのか。浮かび上がる現代社会の生きづらさの根源。圧倒的な支持を集めた恋愛ミステリの傑作が、遂に文庫化。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
現代の婚活事情にしっかりと寄り添った「刺さる」一冊。
・時代と共に変化する婚活を扱った作品。
失踪した婚約者の行方は?
・結婚式を間近に控えた頃に突如消えた婚約者。その裏にはストーカーの存在が。
知られざる婚約者の「婚活」
・失踪した婚約者を追うにつれて判明する婚約者がしてきた婚活。
どんな事件なのか?
- 婚約者の失踪
- 半年後の結婚式を前に失踪した彼女
- ストーカーの存在
- 紛失していたアクセサリー類
- ストーカーは誰なのか?
- 過去に婚活していた時の男がストーカーなのか?
- 結婚相談所で紹介された人なのか?
- どんな婚活してストーカーに発展したのか?
- 彼女の「過去」と自分の「現在」
- どんな価値観を持った彼女なのか。
- どういった環境で育ってきた女性なのか。
- 自分が彼女と結婚したい気持ちは何%?
オススメ度
謎の魅力:★★★☆☆(事件自体は非常にシンプルだが、かなり奥深い)
登場人物:★★★★★(登場人物全員に血が通っていて、全てに説得力がある)
読み易さ:★★★★☆(文章は多いものの、スラスラと読めて気がつけば読了)
総合オススメ度:A
現代の変化している婚活事情をミステリに落とし込んだ傑作。婚活している人には是非。
感想
結婚の高齢化・晩婚が今の日本では、当たり前になりつつあり、同時に街コン・合コン・マッチングアプリなど、様々な婚活の形態が時代と共に現れました。
そんな現代の「婚活」にフォーカスを当てた社会派・恋愛ミステリの傑作が「傲慢と善良」です。オススメしたい人は、婚活を経験した人、これから婚活をする人に是非読んで欲しい一冊です。
皆さん、以下の言葉に思い当たる節はありませんか?
「一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎて、傲慢」
「善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めて貰うことが多すぎて“自分がない”」
どうです? 皆さんに心当たりはありませんか?
「傲慢と善良」に人々がなった背景には、現代では情報が溢れ返っていることが起因していると、私自身は感じています。今やネットでどんな情報も手軽に得ることが出来ます。それは、自分に合った「価値観」をすぐに得ることができるのと同じことであり、スマホを開けば、いつ・どこでも・誰とでも、確認し合うことができるのです。
常に自分の価値観が、隣にいてくれるんです。それは心地良いですよね。
そして、誰かに決めて貰うことが多すぎる、というのもネットの弊害だと感じています。現代人はネットに時間を奪われ過ぎている。だからこそ、自分で考える力が養わず、誰かに決めて貰おうとする。そっちの方が、時間が掛からず楽ですからね。
そうやって、自分の好きな事を追い続けた結果、「結婚」という一大イベントを頭から追い出してしまう。焦って婚活を始めても、自分で結婚相手も決めることができず、悩んでいる内にどんどん結婚が遅れてしまう。そういった悪循環に陥っているのでしょうか。
本書はクオリティの高い小説であるにも関わらず、現代の婚活事情を扱った指南書のようにも感じました。もし、婚活に行き詰まったら本書を手に取って、今一度自分自身と見つめ合ったらどうでしょうか。
とても純度の高い小説だったな……。
この小説が刺さる人が多いのも納得の一冊だった。
もう共感がありすぎて、読む手が止まりませんでしたよ。
現代人は恋愛にすごく鈍感になっているのかもしれないですね……。


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