SFミステリ小説の金字塔。
「七回死んだ男」を紹介していくぞ。
七回死んだ……。
なんか不穏なタイトルですね。恐ろしい話なのでは?
タイトルとは裏腹に、とてもポップで面白い文体なんだ。
SF要素も分かりやすくて楽しく読める作品だ。
そうなんですね!
それは、SFミステリ初心者に優しそうで安心です。
概要

高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。資産家の祖父は新年会で後継者を決めると言い出し、親族が揉めに揉める中、何者かに殺害されてしまう。祖父を救うため久太郎はあらゆる手を尽くすがー鮮やかな結末で読書界を驚愕させたSF本格ミステリの金字塔!
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
反復落とし穴という体質を持つキュータロウ
・能力ではなく、同じ日を9日間繰り返すという「体質」を持つ主人公。
後継者問題を抱える親族一同
・お正月に祖父の家を訪れる親族一同。狙うは祖父の後継者。
何回繰り返しても死んでしまう祖父
・何回もループして、死を防ごうと奮闘するも必ず死んでしまう祖父。
どんな事件なのか?
- お正月に集まる親族一同。
- 和やかな雰囲気はなく、常にピリついた空気感。
- 祖父の会社に後継者がいない。誰かを養子にしなくてはいけない。
- しかも会社の部下たちも後継者争いに加わり、波乱を迎える。
- 反復落とし穴に落ちるキュータロウ
- 1月2日の繰り返しに落ちるキュータロウ。
- 一周目は祖父と酒盛りをして、祖父は死ななかったが……。
- 何故か一週目をなぞる筈が、二周目からは祖父が死に始める。
- 祖父の死を防げ!
- 祖父は屋根裏で撲殺される。
- 犯人と思わしき人をマークするも、別の人間が犯行を行う。
- どう工夫しても祖父の死を止められない。
オススメ度
謎の魅力:★★★★☆(SFミステリの金字塔に相応しいSFの謎に溢れています)
登場人物:★★★★☆(登場人物が多いと思いきや、個性溢れる登場人物たちで区別がつきやすい)
読み易さ:★★★★☆(小難しい印象を受けるSFですが、分かりやすく面白い文章でとても分かりやすいです)
総合オススメ度:S
SFミステリのおすすめは? と聞かれれば真っ先に思い浮かぶ一冊です。
感想
最近ではSFミステリは珍しくもなんともないですが、この作品はSFミステリの先駆けといっても過言ではありません。ノベルスが1995年に刊行され、2017年に新装版も刊行されました。この作品が如実に傑作だという事がわかりますね。
SFミステリというと、どうも小難しいと感じる人が多く、嫌厭される方も多いかもしれません。しかしこの作品はSFを分かりやすく噛み砕き、さらに難しく感じさせない文章で読者に寄り添ってくれます。しかも、SFという設定を逆手にとって読者を、思考の穴に落とし込む手法は見事の一言です。見事な伏線回収でした。
これを機にSFミステリの作品を多く手にとってくれる人が増えればいいですね。
西澤保彦氏は、2025年11月9日に肺がんにより64歳という若さで、お亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。


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