今回は平成のエラリー・クイーンと呼ばれた青崎有吾の短編集を紹介していくぞ。
あの体育館の殺人の著者が短編集を出したんですね。
どんな本格ミステリが読めるのか、楽しみです。
いや。今作はミステリ要素はあるが、他の要素も多い。
ミステリ・SF・百合・人気コミックのトリュビュートと盛りだくさんの内容なんだ。
なんと。そんな多才な作家だったんですね。
読むのが楽しみです。
概要

『体育館の殺人』をはじめとした論理的な謎解き長編に加え、短編の書き手としても人気を集めてきた青崎有吾。JR福知山線脱線事故を題材にした「加速してゆく」、全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人を描く本格推理「噤ヶ森の硝子屋敷」、最強の姉妹を追うロードノベル「恋澤姉妹」、掌編、書き下ろしなど全8編。著者による各話解説も収録した、デビュー10周年記念作品集。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
様々なジャンルが8篇収録。色々な青崎有吾を堪能できる!
・ミステリ、ショートショート、SF、百合、コミックのノベライズ多数収録。
サクッと読める読みやすさ。青崎有吾の入門としてもオススメ。
・作家性を知りたい人には充分な一冊。
11文字の檻、という謎解き脱出。思いもよらぬ脱出方法とは?
・監獄から脱出するため、11文字のパスワードを探り当てろ!
どんな事件なのか?(11文字の檻)
- 反政府思想を持つ人物を収監する監獄
- 主人公は官能小説家。
- 部屋は2人部屋で協力することができる。
- 発狂して、自殺する囚人もいる。場合によっては殺し合いも。
- 壁に11文字の正しいパスワードを記入すれば出所
- 部屋は1ヶ月周期で移動される。
- 隣の部屋と一定時間「通話」が可能。
- 部屋にはひとつのキーワードが決められている。
- どのように解答を導くのか
- 当てずっぽうに11文字を書いて、脱出ができるのか?
- 正しいパスワードを、どうやって論理的に導き出すことができるか?
- 脱出できたのは「ひとり」だけ。
オススメ度
謎の魅力:★★★★★(11文字の檻が珠玉! 読んで損がない出来栄えです)
登場人物:★★★☆☆(短編集、ということもあってちょっと魅力不足か?)
読み易さ:★★★★☆(色んなジャンルがごちゃ混ぜになっているが、読み易い)
総合オススメ度:A
青崎有吾入門としても、元々のファンが買う一冊としても満足できる一冊に間違いなし!
感想
青崎有吾といえば、何を思い浮かべますか?
真っ先に思いつくのは、「平成のエラリー・クイーン」「本格推理」「論理的思考」「裏染シリーズ」といった方が多いのではないでしょうか? もちろん私もそうです。
青崎有吾=ミステリ作家、というイメージが定着してしまっているのでは、ないでしょうか。
そんなイメージを払拭させるのが、今作の「11文字の檻」です。
前書きで、作者自身が今作を「屋根裏部屋」と評していた通り、あっちを覗けば、ミステリ。こっちを覗いてみたら、SF。いやいや、こっちは百合。と様々なジャンルがごちゃ混ぜになっている作品が8篇も収録されている。
こんなジャンルを書けるんだ、と驚く一方でクオリティも高い。付け焼き刃なんてものではなく、研ぎ澄まされた刀でバッサリ一刀両断されたようであった。
もちろん、表題作である「11文字の檻」は青崎有吾の真骨頂である「謎解き」をたっぷりと堪能できる。
11文字のパスワードを解かない限り、監獄から脱出することはできない。ヒントはない。主人公はどうやって、正解を導くのだろうか?
これだけでも、読みたい気持ちが湧いてきませんか? 実際、主人公は思わぬ手を使って、パスワードの謎を解いていくんです。
脱出系の小説・映画、ドラマなど好んで触れてきましたが、こんな謎解きは初めてで、流石青崎優吾と、膝を打ちました。
私はまだ青崎有吾という作家の実力を、ほんの少ししか垣間見ていなかったのかもしれない。
屋根裏部屋を思う存分堪能して、満足な一冊だったぞ。
色々な作家性が垣間見れた一冊でした。
これからの青崎有吾がますます楽しみになってきましたね。

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