学生アリスシリーズの第三作。
「双頭の悪魔」を今回は紹介していくぞ!
双頭の悪魔……。
なんだか意味深なタイトルですね。一体どんな物語なのか……。
今回は二つの村で事件が起こるんだ。
その事件をEMCメンバーが解決してくんだ。
700ページ近くの大ボリューム!
これは読み応えがありそうな内容ですね。
概要
他人を寄せつけず奥深い山で芸術家たちが創作に没頭する木更村に迷い込んだまま、マリアが戻ってこない。救援に向かった英都大学推理研の一行は、大雨のなか木更村への潜入を図る。江神二郎は接触に成功するが、ほどなく橋が濁流に呑まれて交通が途絶。川の両側に分断された木更村の江神・マリアと夏森村のアリスたち、双方が殺人事件に巻き込まれ、各々の真相究明が始まる…。
「BOOK」データベースより
大きな3つの魅力
二つの村で起こる殺人事件
・物語が交互に進み、謎が謎を呼ぶ展開に読む手が止まらない。
一つの手掛かりで犯人を追い詰める推理
・たった一つの手掛かりから、どうしてそこまで推理できるの?
マリアの成長物語
・家出したマリアが事件を通して、一回り成長していく物語でもある。
どんな事件なのか?
- 芸術の村(木更村)での殺人……マリアside
- 洞窟内での殺人。
- 死体に振り掛けられた香水。
- 欠けた右耳。
- 夏森村での殺人……アリスside
- 廃校で死亡。
- 呼び出しのメモ。
- 消えた手紙。
- 犯行の裏側
- アリバイと動機がチグハグな殺人。
- 屋敷の至るところに振り撒かれる香水。
- どうやって、犯行を行ったのか?
オススメ度
謎の魅力:★★★★★(犯人の逃げ道をなくしていく、論理的推理は素晴らしいの一言)
登場人物:★★★★★(個性豊かな芸術家たちは覚えやすく、読んでいて楽しい)
読み易さ:★★★★★(アリス、マリア視点で描かれていて、とても読みやすい!)
総合オススメ度:S
個人的な有栖川有栖の作品No.1作品。いつ、何回読んでも面白い!
感想
この作品は個人的に有栖川有栖のNo.1の作品だと思っています。 1999年に刊行されている今作品ですが、論理的な推理は今もなお色褪せず、推理は美しいままです。
学生アリスシリーズの第三作品目に当たる今作。キャンプ場→孤島→ときて、今回は人里離れた山奥の村。マリアの家出騒動から、物語は動き始めます。
マリアが家出したのは、四国にある通称「芸術の村」。ここに逗留しているマリアを救出(?)するためEMCメンバーは彼女の父親から依頼を受ける。
彼女の救出劇はまるでドタバタのコントのようであり、それだけでも面白いのですが、殺人事件が起きてからはその面白さは更に加速します。
マリア・江神部長。
アリス・モチ・信長。
芸術村とアリスたちが滞留している村に架かっている橋が、川の氾濫によって崩落! 芸術村はクローズドサークルと化します。更にアリス側でも殺人事件が発生して、もうてんてこ舞い。
芸術村とアリスたちの村で起きた殺人事件との関連は? 果たして、無事にマリアと再会することはできるのか?
と、いったあらすじですが、やっぱり今読んでも面白い。
洞窟内で発生した不可解な殺人事件を華麗に推理する江神部長に惚れ惚れしますし、アリスたちはアリスたちで、三人寄れば文殊の知恵、といった具合でうんうん唸りながら犯人を推理して、論理的に犯人を追い詰めていく姿は、読んでいて「頑張れ!」と応援したくなるようでもありました。
更に、この二つの場所で起きた事件を繋ぐ、大きな「モノ」。これが明らかになった時の衝撃は未だに忘れられません。脳みそが痺れるような感じを味わえる数少ない小説だと思います。
そして、挿入される「読者への挑戦」。しかも、3つ読者への挑戦があるんです。これは得した気分になりますよね。相変わらず、自分自身の推理はからきしダメですが(笑)
今作はマリアの成長といった側面もあって、彼女の心理的成長も読んでいて面白いです。さて、次作は「女王国の城」です。このシリーズ永遠に続いて欲しい……泣
面白い! この作品にこれ以上の評価はつけられないな!
何度読んでも、この面白さは永遠だ!
複雑だった謎が魔法のようにスルスルと解けていくのは最早快感ですね。
なんて、美しい推理なんだろうか……。
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