たぬき探偵のミステリ講義
倒叙ミステリとは

たぬき探偵のミステリ講義

倒叙ミステリとは

さて。
それでは『倒叙ミステリの講義』を始めようか、にわとり君。

よろしくお願いします。
……で、『倒叙ミステリ』とは一体なんですか?
「とうじょ」で読み方は合っていますか?

それで正しいぞ。
辞書にはこう書いてある「現在から過去へ、時間を逆にさかのぼって叙述すること」
しかし、推理小説ではちょっと意味合いが異なるのだ。

『倒叙ミステリ』とは。

・犯人視点の推理小説。

・犯人の心理描写や犯行の様子が描かれる、通常の推理小説とは異なる推理小説。

・犯人と探偵との緊張感あふれる対決が読める推理小説。

つまり、犯人が主人公の推理小説ってことですね。
あまり読んだがないような気がしますが……。

確かに倒叙ミステリは普通のミステリと比べて作品数は少ない。
しかし、少ないからこそ、読んだ時の面白さは別格なのだよ。

でも、犯人視点の推理小説って面白いんですかね?
あらかじめ、犯人やその動機、トリックまで分かっている状態なんですよね?
それを読んで、読者が楽しめるんですかね?

嘆かわしいなぁ……。
この倒叙ミステリの魅力を知らないとは……。

倒叙ミステリの魅力

倒叙ミステリの魅力はざっとこんな感じだな。

犯人の犯行動機……犯人が主人公だからこそ、犯罪に至るまでの経緯をしっかり描いてくれているので、犯人の気持ちが痛いほど分かる。

犯人の手口……突発的にせよ、計画的にせよ犯行の手口が分かるのは、ドキドキする。突発的なら、必死に証拠を消そうとする犯人に肩入れしてしまうし、計画的ならどんな完全犯罪を計画するのか興味が湧いてしまう。

犯人VS探偵・・・・・・探偵が登場して、徐々に犯人を追い詰めていく。完璧だと思った計画が思わぬ綻びがあって、そこを指摘してくる探偵。まるで真綿で首を絞められていくような恐ろしさが、そこにはあります。

頑張れ犯人!・・・・・・犯人視点だからこそ、どうしても犯人に肩入れしたくなって犯人を応援したくなっちゃうんですよね。探偵に負けるな!ほら、ここに証拠が残っているよ! とついつい声援を送ってしまうんです。

犯人視点だからこその魅力がこんなに詰まっているんですね……。

その通り。倒叙ミステリでしか味わない魅力がたっぷりとあるんだよ。
是非、この面白さを一度経験したまえ。

ミステリとサスペンスの違い

にわとり君。
ちなみに君はミステリとサスペンスの違いを知っているかね?

え……。
言われてみれば、全く違いが分からないです……。

『ミステリとサスペンス』の違いとは。

・ミステリ……事件の犯人、謎解き、トリックを楽しむ作品。

・サスペンス……あらかじめ、犯人やその真相が明かされており、事件の解決までの緊張感、不安感を楽しむ作品。

つまり、普段慣れ親しんだ推理小説の大半は「ミステリ」に分類される訳だ。

そして、今回紹介した倒叙ミステリは「サスペンス」に分類される、と……。

まぁ、大別するとそうだな。
だが、推理小説は人にとやかく言われて楽しむものじゃない。自分が楽しめれば、それでいいのだよ。

倒叙ミステリの作品

倒叙ミステリといえば、これ!
という代表的な作品を3つ紹介するぞ。

・福家警部補の挨拶

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・扉は閉ざされたまま

・青の炎

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どの作品も倒叙ミステリの中では、頭ひとつ抜けている作品だぞ。
他にもまだまだ面白い倒叙ミステリはあるから、別の機会で紹介していこうと思う。

まだまだ種類がたくさんあるんですね!
どんな物語があるか気になります。

最後に

 倒叙ミステリ、という言葉では頭に「?」がつく人が多いと思いますが、ドラマの「古畑任三郎」・「刑事コロンボ」のような作品だよ、と伝えると得心する方が多いです。

 倒叙ミステリという単語は知らなくても、「そういうジャンルがある」と知っている方は一定数いるようですが、まだまだ「倒叙ミステリ」というジャンルは知名度が低いです。

 このブログを通してもっともっと「倒叙ミステリ」というひとつのジャンルの面白さ、名前を浸透させ、「まだまだこんな作品があるんだよ!」と視野を広めて頂ければ幸いです。

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